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From New Zealand 2007年7月,ニュージーランドへ移住してきました。ニュージーランドでの日常生活についてつづります。

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書くための文法,話すための文法

「表現のための文法」というのは,「表現する」=「書く」「話す」の両方を意味します。

前にも書きましたが,(大人用も含めて)日本の英語教育では,ごちゃ混ぜになっているのが現状だと思います。

「書く文法」と「話す文法」がこんなに違うのか,あるいは本で学んだ文法は会話ではこう使うのか,というのは,両方を実践した(している)人にしかわからないでしょう。

日本で英語をしょっちゅう「書く」仕事をしていても「話す」機会がほとんどない人は多いでしょう。
英語圏でしょっちゅう英語を「話す」機会があっても,英語をマジメに「書く」機会はほとんどないでしょう。
どちらの立場の人も,残念ながら,自ら努力して機会をもたないと,両方の分野に長けているとは言えません。


「話す文法」の例として,助動詞(推量)を挙げてみようと思いました。

〈can't [cannot]+動詞の原形〉 「~はずがない」

正式な文(書き言葉): It can't be true. 「それは本当のはずがない」

話し言葉: It can't be! 「そんなバカな!」

カタカナ表記はよくないですが,敢えて書くなら,発音は「イッ キャンビ!」で,「キャン」が強く発音されます。


そして,このようにひと言で応答するとき,確信度によって使う助動詞を変えるだけです。

「そうに違いない」と確信しているとき。
It must be. [Must be.]

「恐らくそうだ」と思ったとき。
It should be. [Should be.]

あり得ないと思ったとき。
It can't be. [Can't be.]

このように書いていくと,馴染みのある1語が頭に思い浮かぶと思います。

Maybe.

この語の存在があるから,文頭の It さえ省略されて,
Can't be. / Must be. / Should be. / Could be. / Might be. . . .
のようになる[聞こえる]のかも知れませんね。

さて,これらの応答(会話表現)は学校では習いません。
あくまでIt must be true.のような「主語+動詞~」が基本です。
理由の一つは,主語や補語の省略とか,くだけた言い方では・・・などと言い出すと,生徒は混乱するだけだからでしょう。

ですが,個人的には,書き言葉用の基本文法をしっかり学んでいれば,会話は慣れなので,実際に話す必要性が出たときに十分基本文法は生かせると思います。(実体験が物語る…)

重要なことは,学ぶ際,教える際に,「書く」と「話す」が全然違うこと認識しているかどうかだと思います。

そもそも,前々から,「会話文を読む」ことに異議があるわたくしです。
実際の「会話」を文字で表すことは不可能に近いからです。

勝手な憶測ですが,昔は英語の試験にリスニングがなかった=筆記しかなかった→対話文は筆記(読解問題)で扱われた→リスニングがメジャーとなった今でも対話文読解が残っている。

英語圏が作成する英語の試験に対話文読解などあるでしょうか・・・?
もちろん,会話の内容を理解する,正しい応答を選ぶ,などの設問形式はそれ相応に意味があるのも確かなのですが,不自然な会話を「読む」たびに,思うところがあります。

少なくとも,英語を「読む」学習のときは,しっかりした基本文法で書かれた英文を,英語を「聞く」学習のときは,英文法や構文などにこだわらず,限りなく生に近い会話をひたすら聞くのが理想だと思います。
重要な部分以外は聞き流してよく,何が省略されているとか冠詞がどうだったとか重要ではなく,会話の主旨を聞き取る練習ですね。

まあ,理想は理想に終わるのですが・・・。
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スピーキングのレッスン

Hさんにスピーキングのレッスンを時々お願いすることにしました。
 
資格試験のスピーキング・テストで言えば,スピーキング能力にはaccuracyやfluencyなど,評価項目はいくつかあります。

さすがにそろそろfluencyを何とかせねばと…。
 
日常会話や仕事の話の最中には,だれもスピーキングなんか指摘してくれません。
スピーキングに集中した個人指導を受けることは移住当初から必要だとは思っていたのですが,2年半もかかってしまった。
 
レッスンのきっかけは,Hさんとの会話中,初めてわたしの言う単語が通じなかった。

「global」

原因は2つのlとb。
 
ふだんから「lとr」,「bとv」なんて上手く発音していません。
基本的に,発音よりも話す内容が重要だという考えであることと,実際の会話の場面では,たとえlとr,bとvの発音を間違っても,(正しい)文脈があるので,たいがい通じるものです。

が…,今回は文脈があっても通じなかった例ですね(泣)
 


fluencyとひと言で言っても,発音,アクセント,強勢,イントネーションなど要素はたくさんあり,全部同じくらい大事。
 
ひとまずわたしがリクエストした方法は,ダイアログの音読をHさんと一緒に行ってもらうこと。
 
素材には,対話が長い点と,中学レベルである点から,ケンブリッジ英検の一番易しい級(KET)のリスニングスクリプトを選びました。
 
と,張り切ったものの…レッスン1回目にして肩をがっくり落とすことに。
 


最初の壁は音の連結・脱落です。
 
↓会話の最後
A: Did you buy a short white T-shirt like mine?
B: Well, I bought a long white one. I’ll wear it more often than a short one.
 
このI’ll wear it more often than a short one.に連結・脱落が3箇所もあって,こんな短い1センテンスがまともに(流暢に)言えない自分がいた。
 


結局,自分の話す英語が通じているのは,所詮,語法・文法がGoodだから。
要するに,accuracyはまあまあ良くても,1語1語発音しているので

「通じるが流暢ではない英語」

だということ。
 

「Could you」(連結)
「I don’t know」(tの脱落)
のような定型表現の連結・脱落は無意識にこなしていても,あらゆる文で連結・脱落が自然にできる能力が全くなく,その練習すらしたことがないことを痛感させられました。
 

理屈では本にもあるんです。(わたし自身も書きますが)
語尾のtやdは脱落しやすいとか,冠詞や関係詞,代名詞ははっきり聞こえないとか。

要は,本に書いてあることを実践でどれだけ活用できているかってことなんでしょうね。
例えば,「it」を聞こえにくい単語と言ってしまってよいのか。文頭(主語)にも来ますし。

前回のレッスンから。
It gives you four photos for three pounds. → Itのtが脱落。
 
 
何度も言いますが,わたしも所詮,読み書きばかりしてきた日本人の典型です。
逆に言うと,スピーキングで自然に連結・脱落ができたらリスニング能力も同等にあるはずですよね。
頭(理屈)ではずっとわかっていることなのですが…。
 
これだからわたしは「読む・書く」と「聞く・話す」は別言語だ,くらいの気持ちで主張し続けているんですよねぇ。
 
いずれにしろ,このまま発音を矯正してリスニング能力の伸びを見てみよう!!
 

「同意文書きかえ」は賛否両論

英語の試験問題に定番の
「ほぼ同じ意味になるように」
パターンの問題。

近年,中学英語からなくなりつつあるこの設問パターン。(公立高校入試には出題がなくなった)
「ほぼ同じと言えるのか?」,ネイティブが「同じと言えない」と言っている,などの理由で好ましくない設問パターンと現場では考えられているようです。
(市販や塾教材にはいまだにあります)

確かに,
Can you tell me how to get to the station?
Please tell me the way to the station.
のような書き換えはメジャーですが,そもそも疑問文と肯定文(命令文)を同じと言っていいの?
という意見は納得です。

でも,本場イギリスのケンブリッジ英検という試験問題に,この同意文書きかえが出題されているんです!

レベルPETの過去問から下記を解いてみましょう。

-問題指示文抜粋-
Complete the second sentence so that it means the same as the first.(←「ほぼ同じ」でなく「同じ」)
Use no more than three words.

問題
1.
Football is the most popular sport at the centre.
Football is __________________ than any other sport at the centre.

2.
"Who does this towel belong to?" my mother asked.
My mother asked, "______________________ is this towel?"

3.
We stayed until the activity park closed.
We _________________ leave until the activity park closed.

4.
Sebastian and his friends went swimming every day.
Every day Sebastian went swimming and ___________________ did his friends.


なかなか面白いと思うのはわたしが良問マニアだからだろうか(笑)

1. は日本でも典型的。
2. は話法の転換ではなく,でも文法・表現を狙った問題。(話法の転換の出題は別にあり)
3. はネイティブらしい問題ですね。
4. はこれこそ「同じ」って言えるの?と突っ込まれそうです。

答え:1. more popular  2. Whose  3. didn't  4. so

過去に英検の著書でも書いたのですが,同意文書きかえ問題はある意味重要だと思っています。
A=Bの単純な作業の繰り返しがよいかどうかは別として,長文読解の内容一致選択問題などでは,選択肢は必ず本文の書き換えだからです。
本文ママだと簡単すぎます。
TOEICでは「パラフレーズに慣れろ」というメジャーな攻略法がありますが,これも同じです。
同じ意味,似た意味であることが理解できなければ問題は解けません。

この能力は試験問題を解くためだけのものではありません。
日常でも,自分や相手が言った表現を繰り返すとき,2回目は少し違った表現を使うのが通常であり自然です。

一つの表現をいろんなバリエーションで表現できること。

重要ですね。

日本人らしい英文 VS ネイティブらしい英文

自分が書いてネイティブに直してもらうだけでなく,ネイティブに英文を書いてもらうことによって,ネイティブらしい表現,どんな表現が自分に足りないかよくわかります。

日本人のライティング初期段階は,都度,頭の中で,日本語→英語に変換して書いているはずですが,ある程度書き慣れてくると,自分の書いた英文を和訳するときに,きれいな日本語にならないという現象が起こってきます。
そのレベルに達したら,英語を英語で考えて書き始めていると言えるのかも知れませんね。

例えば,英語の特色の1つに「無生物主語」があります。

日本語で

「あのバスに乗ると図書館に行けますよ」

と思い浮かべたときの表現を3つ見てみます。

日本語では主語をよく省略しますが,この場合,まず主語が「あなた」youであることを理解します。

1.接続詞ifを使って限りなく直訳に近いパターン。複文(節が2つ)。

If you take that bus, you can get to the library.


2.定型表現を使ってより英語らしく。まだ接続詞があって節が2つ。

Take that bus, and you will get to the library.


3.そして,無生物主語。

That bus will take you to the library.

短く,かつ1節で収まりました。


これはあくまで例であり,もちろん,実際の場面では,時と場面によっていろんな表現があることでしょう。

ポイントは,上記の日本語で,無生物主語が出てくるか?主語にbusを思い浮かべるか?ということですね。



さらに,逆で考えると面白いです。

3.のThat bus will take you to the library.という英文を見て和訳をする場合です。

初期段階では直訳で

「あのバスがあなたを図書館に連れて行くでしょう」

みたいになりますよね。

文脈によりますが,この英文を見て,「あのバスに乗ると図書館に行けますよ」と自然に訳す人は,だいぶ日→英も英→日も慣れている人と判断できます。


話すときも同じですが,英語をアウトプットするとき,日本語から毎回変換しているか,日本語を通り越して直で英語を発信しているか,その壁を乗り越えるのが一苦労であるだろうし,その壁を完全に超えると世界が随分違うのだと「想像」します。

続・生の英語-勉強になった本

先の日記では主にup-to-dateな「生の英語」の話でした。
まあ、わたし自身も生の英語と日々格闘しているわけですが・・・、
特に、日記のネイティブチェックシリーズに載せているような、辞書や文法書に書かれていない、実際はどうなのか?という観点では、毎日が発見の連続です。
 
そこで、最近、この観点で個人的に勉強になった教材があります。
 
旺文社「オーレックス英和辞典」「オーレックス和英辞典」の"PLANET BOARD"
※表現・文法について、現地のネイティブスピーカーによるアンケート結果のコーナー。
このコーナーだけでも全部読む価値あり!
 
The Japan Times「日本人に共通する英語のミス151」(増補改訂版)
※よくあるタイプの教材ですが、ネイティブが書いた英文解説がすべてについている。
英語で読む価値あり!

旺文社「表現のための実践ロイヤル英文法」の"Helpful Hint"
※マーク・ピーターセン氏による文法・表現に関する補足・解説。
かゆいところに手が届く!
日本人の思い込み指摘にそのままコピペしたい!
 
ほかにもネイティブによる、もしくは生の英語を使った良書はたくさんあると思います。
ただ、辞書もしかり、書籍の悲しいところは、改訂されない限りは、年月が経つとともにどんどん内容も古くなってしまうこと。
書かれた年度を意識して、常に新しい情報を確認するように心がけたいものですね。
 
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