ある出版社の編集者と話していたとき,その方がこんな話をされました。
「友達に,『毎日そんなに英語学書を編集していたら,仕事で英語が勉強できていいね』
と言われたけど,英語を勉強しているという意識はないんですよ。
英語ではなく文字として目に入ってくるんですよ」 と。
確かにその通りなんです。
「文字」を操る仕事なのです。
英語には大きく分けてreading, writing, (grammar,) listening, speakingがあります。
readingとwritingは「文字」ですが,listening, speakingは「音」なのです。
医者には内科や外科,眼科,数学には代数幾何や基礎解析があるように,英語にもジャンルがあります。
毎日英語教材を執筆している人が,週末返上で会社で働く編集者が,さらには,毎日教壇に立って英語を教えている人でも,会話に接していない限りは,listening, speakingができるかと言えば,必ずしもそうとは限りません。
逆に,ネイティブのように難なく会話できる人が,英文を書けない(書かない)といいます。
会ったとき,なぜかわかりました。とてもブロークンな英語だったのです。
TOEIC990点の人が英語が話せるかと言えばそうとは限らないのは,ようやく世間でも認められていますね。
眼科で歯の治療ができるか。
パティシエが,栄養士が,料理が上手いか。もしくは好きか。
英語も同類と思います。
ある一定のレベルまでは,そつなくreading, writing, grammar, listening, speakingを操って英語教材が書ける人はたくさんいますし,そういう人は貴重です。
ですが,本当に研究している方が専門的なことになってくると,writing教材を書く人がlistening教材を書かないと思います。
会話や発音に徹底している人はwriting教材は書かないと思います。
楽器をする人で意地でもカラオケに行かない人がいます。
楽器では完璧に音程が取れるのに,声に出して歌うと音程がはずれる自分に絶えられないからです。
フォローとして一つ例を挙げると,例えばカリスマ教師と言われる方の原稿を編集(書き直し)したりする仕事があります。
原稿には嘘がいっぱいあります。でも,ふと考えて見ました。
その方は「書く」のが本職ではなく,「教師」が本職でそれが「カリスマ」なのですから,当然と言えば当然なのです。
こちらは「書く」が本職なのですから。
たとえ嘘があっても,その先生につけば,英語が伸びる,「英語が好きになる」,難関校に受かる などの事実があるから生徒が集まる,きっとそれがカリスマなのでしょう。
それがすごいことですし,「書く」本職には縁のないタイトルです。
浅く広くできる人はそれでよし。
得意分野がある人は,それを伸ばせばいい。
マニアがいてこそ各分野は伸びる。
もちろん,押さえるべきところは「逃げ」てはいけませんが!! (ふぅ~~~っ!)
Try to be the only one, not number one.
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