likeもsuch asも「~のような」「たとえば」という意味ですが,常に置き換えられるわけではありません。
以下のような例文を作ってみました。
① I want a clever dog like Pochi in that movie.
私はあの映画に出てくるポチのようなかしこい犬がほしい。
② I want a small dog such as a miniature poodle.
私はミニチュアプードルのような小型犬がほしい。
どちらも「~のような」という訳になり,likeやsuch asの後は前のdogの「例」なので,一見,置き換えられそうです。
ですが,①の文ではsuch asを使うとおかしなことになります。
【ポイント】
like→exclude
such as→include
【解説】
①の「ポチ」は「かしこい犬」の例だけれども,映画の中の犬で実際に飼えないので,exclude(除外)→like になります。
②の「ミニチュアプードル」は「小型犬」の例で,飼えるので,include(含有)→such asです。
ただし,「ミニチュアプードル」は単なる例で,ほかの小型犬を飼う可能性もあるので,exclude(除外)→likeも可能です。
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この手の,日本語では同じだけれど英語では微妙な使い分けがある,というパターンは語彙にしろ文法にしろ,山ほどあると思います。
経験上,特定の単語や熟語を使った短い1文を書かせたとき,それらの単語や熟語がいかに自然な英文中に使われているかは,普段どれだけ正しい英文と接しているか,と比例します。
見た目同じ中学生用の文法教材でも,使われている英文をみたら,筆者の英語の運用力がわかります。
でも,残念なことに,消費者のほとんどはその英文の質を判断できずに買い,いわゆるtextbookyな英文で違和感なく学習しているのが現実だと思います。
英文を書く側でいうと,普段使わない語彙や熟語を使った英文を書くとき,恐らく辞書などをみるでしょう。
でも,いつも言いますが,辞書の日本語の意味や前後に文脈のない用例文という断片だけで判断し,さらに日本語の感覚で英文を作る,これがおかしな英文を生みだす理由の一つです。
今回のlikeとsuch asのようなパターンは,普段から「単語の日本語の意味」や「英文の日本語訳」にとらわれず,正しい英文に多く接して,知らぬ間に自然と使い分けている,結局はこれが理想なのかもわかりません。
でも,そんな場合でも,改めて理論を知ると知識が定着し,また英語が楽しいものになるでしょう。
わたしのような「なぜ」を説明しなければならない立場や仕事をしている人であれば,とにかく理論的な知識を増やすことが求められますが,この英文,なんかおかしい,でも理由はうまく説明できない,といういわゆるネイティブ感覚をどんどん身につける。ネイティブでない限り,恐らく一生続きますが,今のところこれがわたしの英語学習における必須条件の一つです。
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