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From New Zealand 2007年7月,ニュージーランドへ移住してきました。ニュージーランドでの日常生活についてつづります。

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中学英語の落とし穴4(疑問詞が主語の疑問文)


「シンプルな英語ほど難しい」

分かる人にだけ分かるこの事実。

昨日もネイティブスタッフのHさんと熱い?ディスカッション。
Hさんと,ネイティブチェックシリーズでメインのDさんの比較も含めて,「疑問詞が主語の疑問文」を見てみよう。
※中1レベルです。

◎Whatが主語の疑問文
 
What is in the bag? に対する適切な応答は?
 
Hさん:
ベストアンサーはA ball.
×There is a ball.
×A ball is.
△A ball is in the box. ←初心者だとコレでも許容。
△It’s a ball. ←コレに対する質問はWhat’s that in the box?
 
What’s in the envelope? に対する適切な応答は?
 
Dさん:
○It’s a letter.
×A letter is.
 
There is a letter. はどうかとたずねると?
In spoken English, “There is a letter,” yes. In written English: “There's a letter in it.”
 
◎Whoが主語の疑問文
 
Who makes dinner? に対する適切な応答は?
 
Hさん:
○Yuki does.
×It’s Yuki.
 
ですが!
 
Who broke the window? に対する適切な応答は?
 
Dさん:
○It was Taro.
○Taro did.
 
Hさん:
○It was Taro.
○Taro did.
 
これらから,試験などでは,Who broke the window?の応答として,Taro did.だけでなく,It was Taro.も○にすべきことが分かる。
かつ,「Taro did.と答えるように!」という指導は苦しい。逆に,It was Taro.のほうが彼らにとって自然。
でも,上のWho makes dinner?の場合,「It is+人」の応答は×。
 Hさんと2人,この違いに大変興味をもち,もっといろんな例文で検討したかったが,残念ながら時間切れ。

ただし,一番上の What is in the bag? に対してHさんが即答したベストアンサー「A ball.」に着目したい。
 
例えば,東書1056に,
Which bus goes to City Hall? --- Take Bus No.5.
というやりとりがある。
非常にスマートな応答である。
 
同様に,例えば,
Who is coming to the party? --- Some of my classmates. / Ann and her sister.
で十分ではないだろうか?
 
【ポイント】
・正しい応答,自然・不自然な応答にルールはない。都度,疑問文の内容で判断しよう。
・疑問詞が主語の疑問文に対して「主語と動詞」がある文で答えなければならないといった固定観念は捨てよう。
 
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中学英語の落とし穴4(the)

日本人が適切に冠詞を使い分けるのは大変です。
ましてや日本人が冠詞を適切「修正」できると思っていません。
優秀な校正者さんでも,ネイティブチェックが入った英文に,一生懸命,あれやこれやと手を加えてきます。
残念ながら,十中八九,朱字が間違いか,どちらでもOKの指摘です。
ほんのたまに「お主もなかなかやるのぉ~」という指摘があります。
 
最近の例を一つ挙げます。
(厳密には中学レベルかどうかの議論は横に置きます)
 
ある長文中に,I don’t have the time to go to the library.という英文。
たまたま,バイリンガルスタッフが書き下ろしてくれた文章でしたが,わたし自身はこのtimeについている定冠詞theはおかしくないという(根拠のない)自信があり,「指摘入るだろうな~」と思いつつ,でも筆者の原文を尊重するのがわたし流なので,そのママ突っ走りました。

案の定,複数名,指摘入りました。(作成過程)
 
「theトル?」

「このtheの意図は?」

 
調べてみるものですね。
 
研究社「新英和大辞典」より。
the
A 1b
「[文脈上限定的な修飾語句を伴う名詞について]」
用例:(略)
★次のような構造で不可算名詞の前に用いるtheはenoughの意味を表す。
用例(一部):
I didn’t have the time to read all those books.
He had the kindness to show me the way.
She hasn’t got the money for [to afford] a new dress.
 
こういうとき,英和辞典の日本語解説は大変役に立ちます。
 
感謝感謝!
 

中学英語の落とし穴3(to不定詞 VS 動名詞)

to不定詞と動名詞について。
 
「主語や補語で,to不定詞と動名詞は置き換えられる」

という考えは捨てましょう。
 
例えば,書き換え問題にありそうな文で見てみます。
 
a. My dream is to become a teacher.
b. My dream is becoming a teacher.
 
c. My hobby is to collect stamps.
d. My hobby is collecting stamps.
 
aとb,cとdは同じではありません。「ほぼ同じ」でもありません。
 また,補語の「~すること」はto不定詞が自然(動名詞が自然)というルールもありません。
 
では,aとb,cとdでは,どちらが自然な英語か?
 
答えは,aとdです。
 
なぜか?
 
 
to不定詞と動名詞の意味を考えてみます。
 
文法書に,「to不定詞は未来指向的」,「目的・希望を表すものが多い」などとあります。
そのイメージで考えると,以下の英文が理解できます。
(△としましたが,NCでは朱字で修正されるものもあることでしょう)
 
My dream is to become a teacher. (△ becoming)
My plan is to study abroad. (△ studying)
The easiest way is to take a taxi. (△ taking)
 
これに対し動名詞は,「事実指向的」,「習慣的・反復的なこと」などとあります。
そのイメージで考えると,以下の英文が理解できます。
 
My hobby is collecting stamps. (△to collect)
My favorite activity is reading comics. (△ to read)
Smoking is bad for you. (△ To smoke)
Speaking English is not easy. (△ To speak)
 
 
さらに,過去に,ネイティブチェックシリーズ52で扱った「動詞の目的語」を振り返ってみます。
 
52
I started to learn cooking from her.
 ↓
I started to learn learning cooking from her.

After she went back to Canada, we started to exchange letters.
 ↓
After she went back to Canada, we started to exchange exchanging letters.
 
理由は,
「start to doだと,『し始めたがそのうちやめた』ということになる」
ということでした。
 

これを,改めて上記のto不定詞と動名詞の違いで考えると,
 
start to do は「未来指向的」,要するに,「し始めたが,そのうち(=未来)やめた」
start doing は「事実指向的」,要するに,「し始めて,今でも続いている」
 
となり,それぞれの文意に合います。
あくまで,イメージですね。 
 

なお,例文で,to不定詞の主語を飛ばしました。なぜなら,to不定詞主語が自然な中学英語レベルの英文は思いつかないからです。
 
以下参考までに,過去のチェッカーのコメントより。
 
不定詞 as 主語 is actually somewhat literary.(不定詞 as 目的語 or 補語 is not). Many textbooks don’t mention this distinction, but normally不定詞 as 主語 sounds awkward in spoken English, or even seems awkward in common written English.
e.g. The common saying “Seeing is believing” would seem funny if rewritten as “To see is to believe.” It has a stiff feeling, sort of old-fashioned. Many of other examples are old proverbs (like “To err is human; to forgive is divine.”)

中学英語の落とし穴2(can)

中学で習うcanは,
【能力・可能】「~できる」
【許可】「~してもよいですか」Can I ~?の形 (+肯定文で「~してもよい」)
【依頼】「~してもらえますか」Can you ~? の形
そして,Can I help you?「いらっしゃいませ」のような決まり文句です。
 
これらに凝り固まっている人は,以下のような英文に対応できなくなっているようです。
 
Can I carry your bag for you? --- Thank you.
 -「あなたのかばんを運ぶことができますか」??
 -「あなたのかばんを運んでもよいですか」??
 
「かばんをお持ちしましょうか」ですよね。

はい。canには【申し出】があります。
 
ほかに,Can I help you with the work?など。

Tip:Shallに置き換えて意味が通れば申し出だと判断してよいでしょう。
 
 
以下のような,肯定文も同様です。

We can send it if you like.
I can give you more information if you need it.
I can talk to him if you want to join the team.

まさに,
「あなたがそのチームに参加したいなら,わたしは彼と話すことができます」
という訳が目に見えてきそうですが,これらの文のニュアンスは,
「送りますよ」「教えてあげますよ」「彼に話してあげますよ」
といった申し出です。
 
Tip:couldに置き換えて意味が通れば申し出と判断してよいでしょう。
 
【ポイント】
canには「申し出」の意味があることを知ろう。
 

中学英語の落とし穴(新シリーズ)

新シリーズを立ち上げます。

シリーズ名は
「中学英語の間違い」
「中学英語を斬る」
「おかしな中学英語の伝統」
「さらば,日本的な中学英語」
「これでいいのか,中学英語」
「ここがヘンだよ中学英語」
「中学英語の呪い」
などなど,何でもよかったのですが,ひとまず,日々中学英語教育に携わる中で気になる点をココにまとめていきます。

注意:本シリーズの目的は教科書や辞書の内容を批判するものではありません。
伝統的におかしな中学英語を取り上げ,考えるという主旨です。
なお,ココに載せる事項は自分一人で収めず,ふだんから各クライアントや自分自身の本を通じてアウトプットしています。

最初は,以前にも書いたコレから。

<その1>
中学1年の教科書本文(巻末リストではなく)で出てくるhelloには,oにアクセントがついている。

authenticな英語において,eにアクセントがあるhelloも知ろう。


<その2>

「~と話す」=talk with ~ / talk to ~=「~に話しかける」

で定着してしまっている人が多い。

(参考:talk to~が載っているのは,開隆堂2090,学図2012,教出1084)

例えば,

Can I talk to you now?
I need to talk to you about your son.
If you are interested, please talk to Mr. Brown.
Do you know tha boy John is talking to?

以上,すべてtalk withではなくtalk toが自然な文です。

高校入試をよく見ている人は,talk withよりもtalk toのほうが多いことに気づくかも知れない。


そして…

「talk toはイギリス英語なのでtalk withにしてください。(教材はアメリカ英語なので)」

なんていうナンセンスな指摘が入ることもある。

試しに英和をいくつか見てみると,確かにそう書いてある。
しかし,そうではない。

上記のような英文を見て分かる通り,そんな簡単なルールではない。
実際,試しにジーニアス英和の
「〈人が〉〔人と〕話す,相談する」
の項目の用例にはtalk withはない。

(以下,用例の一部)

Do you know who you are talking to?
It's been fun talking to you.
If you need someone to talk to, I'm always available.

【ポイント】
辞書に載っている解説は適切に解釈すべし。
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