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From New Zealand 2007年7月,ニュージーランドへ移住してきました。ニュージーランドでの日常生活についてつづります。

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中学英語の落とし穴9(What kind of ~?)

What kind of ~?の質問が多いようなので,整理してみます。

ここでは,可算名詞に限定します。

1.What kind of cars do you like?
2.What kinds of cars do you like?
3.What kind of car does he drive?
 
1.会話の流れから,相手の答えが1種類だと予測して,kindは単数形です。
2.会話の流れから,相手は複数の種類を好きだろうと考えている場合,kindsは複数形です。
3.通常,個人は1車(1種類)を所有・運転すると考え,kindもcarも単数形です。
「彼」が車を2台以上所有している前提なら,
 What kind(s) of cars does he drive?になるでしょう。
 
同様に,movieで見てみます。
 
4.What kind of movies do you often see?
5.What kinds of movies do you often see?
6.What kind of movie did you see?
 
4,5は,好みを聞くのと同様,ジェネラルな話です。2者の違いは1,2と同じです。
6は,実際に見た特定の(1つの,1種の)映画の話なので,kindもmovieも単数形です。
過去時制で,ジェネラルな話ではありません。
現在時制はジェネラルな話で使う時制で,過去や未来と状況が異なります。

未来時制の例です。
What kind of car are you going to buy?  →今から購入する車は1車・1種と予測して,どちらも単数形です。

A: I'm going to buy a car.
B: Really? What kind? / What kind is it? / What kind of car is it?
 
なお,What kinds of car do you like? というkindsと可算名詞・単数形の組み合わせは存在しません。

 
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中学英語の落とし穴8(as ~ as)

中学英語のas ~ asについての考察
 
※英語での定義
We use “as . . . as” to say that people or things are equal in some way. (Swan)

以下,主にこのequalに着目する。

・as ~ as は,厳密には「同じくらい~」ではない。as tall as なら「同じ高さ」(×同じくらい高い),as big as なら「同じ大きさ」(×同じくらい大きい)を意味する。

例えば,高くも低くもない160cmと160cmの身長の2人についても A as tall as B と言うわけで,これは2人とも背が「高い」を意味しない。

よくある popular の例文だと,Ken is as popular as Yumi. などの文は,表やグラフがあって「人気がある」という事実が見て取れるならば,「ケンはユミと同じくらい人気がある」と言えるが,10人中,2人が同位5位でも Ken is as popular as Yumi. と表すわけで,これは2人とも「人気がある」ことを意味しない。

・副詞も同様。例えば,Ken runs as fast as Yumi. だと,2人とも走りが「速い」かどうかは文脈による。
ユミが速く走るという文脈があって初めて,fastが「速く」の意味になる。
例:Yumi runs very fast. - Do you think so? Ken runs as fast as Yumi. だと,「ケンはユミと同じくらい速く走るよ」である。

また,Ken can run as fast as Yumi. や Ken wants to run as fast as Yumi. などの文では,can や want to があることによって,Yumi は走りが「速い」ことを示唆するので,「~と同じくらい速く走る」の意味になり得る。

なお,上記のように,どうしても日本語だと「~くらい」と訳してしまう。

・同様に,Ken is as old as Yumi. は「ケンとユミは同い年である」であって「同じくらいの歳」ではない。「同じくらいの歳だ」を逆に英訳すると Ken is almost as old as Yumi. となる。

・「表現のための実践ロイヤル英文法」内でマーク・ピーターセンも以下のように記している。
日本語ではas ~ asを「同じくらい」という言い方を使って訳しているが,厳密に言えば,意味はちょっとちがう,と。例えば,173.1cmと173.3cmほどのわずかな差だと日本語では「同じくらい」と言うかもしれないが,英語では as tall asとは言えない。日本語の「同じくらい」という表現で許されるそのわずかの差は,as ~ as では許されない。微妙でも差があった場合にはふつう, just about [practically, almost exactly] as tall as you などのように適切な手加減を加えて言う,と。

・形容詞・副詞がマイナスイメージの語の場合,A is as small as B.「AはBと同じく小さい(同じくらい小さい)」」と言える。

否定文では上記のような問題は起こらない。「~ほど…ではない」の意味で問題ない。
 
・以上のようなことを踏まえて英米の文法書を見てみると,面白いことに,as ... as の項目には肯定文の例文はほぼ皆無で,否定文の例文しかない。
参照したのはマーフィーの初級と中級で,初級の方はタイトルの時点で「not as ... as」である。

・as ~ as 肯定文は先述の通り,「まったく同じ(イコール)」を意味するので実際にはそんなに使わない文法なのである。
実際,普段から正しい英文を読むときに意識すれば(こういう場合,日本の英語学習用教材では参考にならない),肯定文では twice as ~ as ...やas soon as possible,as ~ as I can,as ~ as I expected などの表現で頻繁に使う文法だと気づくであろう。
 
・なお,東書2079の One day they fly as high as a bird on Elliott's bike ... の訳例は,「ある日,2人はエリオットの自転車で鳥のように高く飛んで…」となっていて,これは上記の理にかなっていると思われる。

継続と完了

よい機会なのでもう一つ挙げたいと思います。

前回の「許可と依頼」の」記事で,
「文法の用法を区分けするのが大事なのではない」
と追記させていただきました(汗)。

同じことが現在完了にもあてはまります。

現在完了を「継続」「経験」「完了」「結果」のような用法に分けるのは,私たちがノンネイティブだからであって,あるいは,これが日本の英語教育での伝統的な教え方なのであって,実は母国話者の人たちはこんな区分けをしません。
ちょっと不都合なのは,用法間の差が微妙なことがあることです。

確か過去にも挙げたこの例。

Have you been to [tried] the new restaurant by the station?
は,「新しいレストランに行ったことがある?」なのか,「もう行った?」なのか。

この場合,newが若干のポイントになるわけですが,仮に会話でこう言うとほぼ後者のニュアンスです(yetはあまりつきません)。
文法的に経験か完了かを議論する価値のないパターンです。
どの用法かなどと考えずとも,「過去から今までの間に行ったのか行かなかったのか」が理解できれば,十分です。
このタイプは,文脈がなければ正しい訳を書くことの必要性もありません。


また,追記に英語は数学のようにA=B, B=Aではないとも書きました。
こんな例はどうか。

「経験用法」と一緒に使われる語句として,たいていonce, twice, many timesが挙げられます。

では,We've changed the plan many times. はどうなのか。

「計画を何度も変更したことがある」ではなく「(これまでに)何度も変更した」のはずです。

このように,A=Bという式が不都合を生むことを知っておかなければなりません。

今回は現在完了について触れましたが,指導書にも,「英語教育では,伝統的に現在完了の意味を分けて考えるが,基本は1つ。混乱を避けるためにこの分類をとっているが,この分け方は文脈に応じた訳し方の問題であって,英語そのものの問題ではない。…」というような記述があります。

まさにこの通りで,訳についても,「文脈に応じた」というのが大事だと思います。
文法教材などでは,文脈がないために確かにいろんな意味にもできるわけですが,最も自然な英文と最も自然な訳,双方がぴったり合う(ほかの意味の可能性はない)セットの例文を使いたい,というのがわたしのこだわりです。

依頼と許可

ついでにもう一つ挙げます。

中1です。

Can you ...? 「…してもらえますか」・・・依頼
Can I ...? 「…してもいいですか」・・・許可

これらを「式」として固執しているとやや不都合になる例を,以前の記事でも挙げました。

Can I carry your bag for you?

「許可」ではなく,「申し出」である,と述べました。
for you がキーワードです。「あなたのために(してあげましょうか)」ということです。

次に,

(電話で) Can I speak to Ken, please? はどうか。

これは中学では定型表現「ケン君はいますか,ケン君をお願いします」と覚えるので,文法は無関係なのですが,これも「ケンと話してもいいですか」という「許可」でも,「ケンと話すことができますか」という「可能性・能力」でもなく,「お願いできますか」という「依頼」です。

Can I see the dessert menu, please? も「依頼」です。
(=Can you show me the dessert  menu, please?)

そう,「依頼」なのは,pleaseがあるから!
Can I ..., please? で「依頼」ですね。


最後にもう一つ。

1.Can you play the piano?

2.Can you play the piano for me?

Can you ...?には,「~できますか」と「~してくれませんか」の意味があるわけですが,

1.はどちらもあり得ます。文脈がなければ能力のcanのイメージですが,文脈の中では「依頼」にもなり得るでしょう。
2.はほぼ「依頼」でしょう。for meがあるからです。

Can you ...?が「可能性・能力」ではなく,「依頼」であることを伝えるには,for meを加えたらいいだけです。

ここで,冒頭のfor youとこのfor meがつながってきました。
「利益」のforの威力です。

なお,学ぶ際に,文を「許可」だの「依頼」だの,区分けすることが大事だという意味ではありません。
上手な訳を書く必要もありません。
意味・ニュアンスがわかれば,文法の用法はどうでもいいものが多く存在します。

大事なことは,英語は,数学みたいに
A=B,B=A
ではないということを意識することですね。

実際の英語と中学英語の英語

わたしは最近,

「実際の英語」 と 「中学英語の英語」

という言い方をします。

どちらがよいかは賛否両論です。
中学生の時からが実際の英語を学ぶべきと思う人もいれば,日本人にわかりやすい英語,初心者にわかりやすい英語がいい,という人もいるでしょう。

まあ,所詮わたしは前者で貫いているわけで,後者の人たちとは気が合いません。
前者にこだわる人だけと仕事をしたい。
世の中がそういう風潮になっている気はしますが。

ここに典型的な文があります。
1年の一般動詞の導入にありがちなこの例文。

What do you study? - I study English.
1.「あなたは何を勉強しますか」「私は英語を勉強します」
2.「あなたは何を勉強していますか」「私は英語を勉強しています」


和訳は1であれ2であれ,「実際の英語」を知っている人なら選ばない英文です。

studyを辞書で引くと,動詞第1義は「研究する,調べる」です。
英語では,If you study, you spend time learning about a particular subject or subjectsと定義されます。

「研究する」なので,中高生対象に使うとにはたいていおかしくなります。
I study Japanese history at university.
のように使います。

What do you study at school? - I study Japanese, English, math, and so on.
ならよさそうです。
上記の最初の例文のように,中高生対象なら,1科目だけI study English.というのはおかしなことです。

また,上の訳2に相当する英文は,
What are you studying? - I'm studying English. 
です。

と,ここで,某教科書に着目です。
確かに,1年一般動詞の基本例文として
What do you study? - I study science.
とあります。

でも,みなさん,たぶんココしか見ていません。
本文を見ると,これを答える立場の人物は「大学生」の設定で,ちゃんとI study computer science.と言っているのです。

なのに,この基本文はたいてい中学生向けに訳されることになり,
「あなたは何を勉強していますか」「私は理科を勉強しています」
となり,矛盾が出てくるのです。
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