中学英語のas ~ asについての考察
※英語での定義
We use “as . . . as” to say that people or things are equal in some way. (Swan)
以下,主にこのequalに着目する。
・as ~ as は,厳密には「同じくらい~」ではない。as tall as なら「同じ高さ」(×同じくらい高い),as big as なら「同じ大きさ」(×同じくらい大きい)を意味する。
例えば,高くも低くもない160cmと160cmの身長の2人についても A as tall as B と言うわけで,これは2人とも背が「高い」を意味しない。
よくある popular の例文だと,Ken is as popular as Yumi. などの文は,表やグラフがあって「人気がある」という事実が見て取れるならば,「ケンはユミと同じくらい人気がある」と言えるが,10人中,2人が同位5位でも Ken is as popular as Yumi. と表すわけで,これは2人とも「人気がある」ことを意味しない。
・副詞も同様。例えば,Ken runs as fast as Yumi. だと,2人とも走りが「速い」かどうかは文脈による。
ユミが速く走るという文脈があって初めて,fastが「速く」の意味になる。
例:Yumi runs very fast. - Do you think so? Ken runs as fast as Yumi. だと,「ケンはユミと同じくらい速く走るよ」である。
また,Ken can run as fast as Yumi. や Ken wants to run as fast as Yumi. などの文では,can や want to があることによって,Yumi は走りが「速い」ことを示唆するので,「~と同じくらい速く走る」の意味になり得る。
なお,上記のように,どうしても日本語だと「~くらい」と訳してしまう。
・同様に,Ken is as old as Yumi. は「ケンとユミは同い年である」であって「同じくらいの歳」ではない。「同じくらいの歳だ」を逆に英訳すると Ken is almost as old as Yumi. となる。
・「表現のための実践ロイヤル英文法」内でマーク・ピーターセンも以下のように記している。
日本語ではas ~ asを「同じくらい」という言い方を使って訳しているが,厳密に言えば,意味はちょっとちがう,と。例えば,173.1cmと173.3cmほどのわずかな差だと日本語では「同じくらい」と言うかもしれないが,英語では as tall asとは言えない。日本語の「同じくらい」という表現で許されるそのわずかの差は,as ~ as では許されない。微妙でも差があった場合にはふつう, just about [practically, almost exactly] as tall as you などのように適切な手加減を加えて言う,と。
・形容詞・副詞がマイナスイメージの語の場合,A is as small as B.「AはBと同じく小さい(同じくらい小さい)」」と言える。
・否定文では上記のような問題は起こらない。「~ほど…ではない」の意味で問題ない。
・以上のようなことを踏まえて英米の文法書を見てみると,面白いことに,as ... as の項目には肯定文の例文はほぼ皆無で,否定文の例文しかない。
参照したのはマーフィーの初級と中級で,初級の方はタイトルの時点で「not as ... as」である。
・as ~ as 肯定文は先述の通り,「まったく同じ(イコール)」を意味するので実際にはそんなに使わない文法なのである。
実際,普段から正しい英文を読むときに意識すれば(こういう場合,日本の英語学習用教材では参考にならない),肯定文では twice as ~ as ...やas soon as possible,as ~ as I can,as ~ as I expected などの表現で頻繁に使う文法だと気づくであろう。
・なお,東書2079の One day they fly as high as a bird on Elliott's bike ... の訳例は,「ある日,2人はエリオットの自転車で鳥のように高く飛んで…」となっていて,これは上記の理にかなっていると思われる。
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