先日聞いた話,ニュージーランド人がレストランで食事をした。
そのレストラン(の味)はどうだったかと聞くと,
It’s OK.
と言ったらしい。
地元に長く住む日本人によると,
It’s OK.=結構まずい
ということらしい。
OKなのだから,「まあまあ,悪くはない」くらいのニュアンスかと思ったら,かなりの不満と思っていいらしい。
なんと控えめなことか。
前も書いたけど,ここの人たちは,相手が知人・他人にかかわらず,人や物をよく褒める。
食事中でも,美味しくないものでも「おいしいわね」と言って笑顔で食べる。
食事団欒の雰囲気を壊さないためと思っていいだろうけど,それが自然に行える人たち。
レストランや旅行の感想を聞いたときも,良い点だけを言う。
コミュニケーションは笑顔で,というそんな印象の人たちだ。
それでもって笑顔の裏で何を考えているのか…なんて,言うことと思うことの表裏を心配する必要はない。
なんと純粋で,かつ素直な人たちか。
一方,食事に関して,関西人は違う。
まずいものはまずいと言う。
そして,食べ物の恨みは大きい。
藤本義一さんの言葉を一部お借りすれば,
東京人の会社での朝一の話題が
「昨夜のテレビ」
だとすると,関西人(大阪人)は
「昨夜まずいご飯を食べさせられた」
という話があり得る。
そして,それを聞いた関西人もまた,「どこ」で「何を」食べたのかを事細かに聞いて,その店には行かない。
逆に,信頼する人から聞いた美味しい店は行く。
美味しい店には,短いランチタイムで,タクシーに乗ってでも行く。
気の短い関西人も,美味しい店だけは行列をなして待つ。
広告や雑誌を信用しないのも関西人である。
自分の舌で確認してはじめて美味しい店と認める。
だから,よその人が関西(大阪)で飲食店をするのは覚悟がいる。
子供がよその家にご馳走になったときは,何をご馳走になったかだけでなく,美味しかったかも聞く。
そうやって子供の時から敏感な味覚は育っている。
また,大阪人は外食よりも美味しい食材を買ってきて,家で食事をするのを好むと聞いたことがある。
大阪は東京ほどでなくても多彩な食事が外で食べられるので,初めはピンとこなかったが,今それがわかる。
ここニュージーランドでは美味しいお店を探すのは困難だ。そしてコストパフォーマスが悪すぎる。
一食一食にこだわり,まずい飯にお金を払うことほどアホらしいことはないと思うのが関西人である。
なので,移住して最初の数か月はいろいろ探検・冒険したものだが,今ではもっぱら美味しい食材を買ってきて家で作って食べることがほとんど。
美味しいレストランはなくても,美味しい食材はいっぱいある。
話戻って,再三言うように,旦那とわたしは典型的な関西人であり,東京に住んだことがあっても未だその血は変わらない。
まずい店は二度と行かない。
並の味でも高くて割に合わなければ行かない。
逆に,遠い,店が汚い,小さい,店員の教育なっていない,でも本当に美味しい店は何度でも行く。
感想を聞かれれば,まずければまずいと正直に言う。
でも,ニュージーランド人の目からは,批判ばかりする人は変に映るかも知れない。
It’s OK.の話を聞いて,わたしたちは文化の違いにややビックリした。
なので,わたしたちニュージーランドに住む関西人としては,どちらの文化も尊重し,今後,レストランに限らず,感想を述べるときは,地元の文化に乗っ取って,まず良い点を挙げて,それから本音を添えるようにしたほうがよいと思った。
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